保険償還価格よりも640円も高い気切チューブの見積に抗議し、
はや、1週間・・・。
税込5508円から4320円に割り引いて来ました(笑)。
保険償還価格は4460円ですので、
これで当院は1個につき140円の利益を得ることが出来ます。
月2、3回交換で、
当院は月々280円から420円の利益を得ることができます。
でも、気切チューブ管理はとても手間と費用、リスクがかかるのです。
気切カニューレが脱落していないか?
痰で閉塞していないか?
カフ圧は大丈夫か?
十分な人員配置を行って、
神経をとがらせて、
気切チューブの管理をしたことへの対価が、
有床診療所入院では、
月々たった280円。
死に至る危険を伴う気切チューブ入れ替えの手技料も
閉塞や脱落が即、医療事故につながる気切チューブの管理料も
有床診療所においては
一銭も設定されていません。
どれだけ気切管理しても
介護施設よりも安い有床診入院基本料だけです。
それどころか
気切チューブの管理の為には、
閉塞予防の為に頻回の痰吸引が必要ですが
感染予防の為に
1本約30円の喀痰吸引チューブを毎日新しいものに交換し、
ディスポーザブルの手袋を吸引の度に交換して、
喀痰の吸引を行う必要があります。
吸引チューブを未使用時、保管するための消毒液も
常時大量に確保する必要があります。
喀痰吸引チューブだけで30円×31日=930円/月の
ランニングコストがかかり、
これだけで月々500円以上の赤字となるのです。
でも、こんな事はまだまだ可愛らしくて、
本当に大変なのは
安全確保の為の人件費や、中央配管などの医療設備費
そして、気切チューブが脱落した時
すぐ駆けつけられる医師のオンコール体制確保です。
携帯は手放せないので、
私の場合
ジムでもスイミング自粛です。
気管切開口のない、軽症の患者様ばかり入院させないと
経営は苦しくなるのです。
重症患者様を受け入れるほど
手間隙がかかり、医療訴訟へのリスクが高まり、
経営が厳しくなる。
これが有床診療所経営の実情です。
でも、こうした医療リスクの高い患者様は
有床診療所よりも報酬の手厚い
老健施設は受け入れてくれません。
現在の有床診療所・診療報酬設定は、
まだまだ矛盾だらけです。
今日は白浜で忘年会でした。
三楽荘の皆様、どうも有り難うございました。
スタッフの皆様、今年も1年ご苦労様でした。
今年もあと僅か。
もうひと頑張り!
レトロな白浜の魅力
◇年末・年始の外来休診日について
12月30日~1月4日は、当院の外来診療はお休みとなります。
予めご了承下さい。
(1月5日以降は通常診療となります)
◇年末・年始の入院診療について
入院患者様の入院診療は年末・年始も継続致します。
◇12月30日~1月4日の外来予約診療について
12月29日までの通常診療時間内に、予め予約票をお渡し致しますので、予約時間にロビー2(熱帯魚水槽前)でお待ち下さい。
注1) 休診日は、大浜通り入口は閉鎖致します。駐車場側入口よりお入り下さい。
注2)事務・薬局がお休みの為、長時間お待ち頂く場合があります。予めご了承願います。
注3)院外薬局はお休みですので、院内処方となります。
注4)予約時間にご来院頂けない場合は予約時間迄にお電話にてご連絡下さい。
注5)電話連絡なく予約時間にご来院されない場合はキャンセルと致します。
◇年末・年始休診日の急患対応について
掛かりつけ患者様の急病には可能な限り対応させて頂きますが、医師不在等で診療体制がとれない場合は救急病院を受診願います。
当日午前8時30分迄に当院までお電話にてお問い合わせ下さい。
注1)原則午前9時からの診察となります(元旦は午前10時からの予定)。
注2)予めお電話でお問い合わせ下さい。直接来院されてもお受けできませんのでご了承下さい。
注3)休日体制により人員配置が少なく、入院患者様への診療も行っている為、緊急を要する重症患者様への対応は困難です。緊急を要する場合は救急病院を受診願います。
注4)原則初診の患者様への対応は致しかねます。救急病院を受診下さい。
外科内科辻医院連絡先
℡:0739-22-0534
脳梗塞後遺症や、誤嚥性肺炎によって
気管切開をされた患者様が
当院には常時入院されています。
人工呼吸器は必要ないけれど
気管切開口は痰の吸引の為に必要な患者様。
そうした患者様には、体格に合ったサイズの
「気管切開後留置用チューブ」を留置し、
そこから気管内の痰を1日数回吸引する必要があります。
でも、どうしても留置用チューブは汚染し、内腔が閉塞してくるので、
取り外して洗浄したり、新しいチューブに交換する必要があります。
毎週新品に交換するのが清潔で安全なのですが
保険審査請求上、明確な交換間隔の規定が示されておらず、
審査員によって請求が却下される場合があり
却下された場合、医療機関の大きな損失となってしまいます。
でも、気切チューブは生命に直結する大切な器具。
劣化は許されません。
その為、当院では通常、2週間に1回新しいチューブに交換し、
閉塞時などの緊急用に新しいセットを最低1つ準備し、
2週間使用したチューブも洗浄して、2週間ほど保管しています。
ところが先日
一般的な気切チューブの見積を当地方最大手の問屋に出してもらったところ
1セット定価6060円、見積単科5100円(税別)
税込で納入価格5508円でした。
(ちなみに1セットでは売ってもらえず5セット売り、使用患者様が亡くなれば残りは保険請求できません)
驚いたことに
事務さんにこの気切チューブを使用した場合の
保険償還価格を調べてもらったところ
4460円(消費税分は請求できない)でした。
つまり、気切チューブを入院で1回交換する度に
640円の赤字が発生するのです。
当院の場合月2、3回交換するので
気切の患者様を1名入院させると
月々1280円から1920円の赤字となるのです。
親切なことに
気切チューブのカタログの裏に
定価よりも安い保健償還価格が掲載されており
問屋はこのチューブを使うと医療機関が赤字になることを
予め知っていながら
患者様のために購入せざるをえない医療機関の弱みに付け込んで
強気に販売している様子です。
ちなみにこの商品は高級品ではなく一般的なグレードのもので
ナンバー2の問屋でも見積をとったのですが、
何故か全く同額
その他、何件も問屋を当たってみたのですが、
理由不明でこの商品は扱えないとの返事でした。
つまり、この価格でしか購入できないのです。
「もしや独占禁止法違反では?」と勘繰りたいところですが、
そうした例は山ほどあるので、ここではスルーして
でも、保険償還価格の設定が実際の納入価より低すぎるのは明らかにおかしい。
(ちなみに、脱落防止用の首バンドも別売りですが、使用しても保険請求はできません)
現在、償還価格以内で購入できる商品を同問屋に探してもらっていますが、返事はありません。
入院基本料の高い病院では、恐らくすぐに損失を回収できて、あまり問題とならないようですが、
入院基本料の極めて安い、ぎりぎりで経営している有床診療所にとっては
とても許せることではありません。
せめて、納入価格と保険償還価格を同じにして、
リスクを伴う気切チューブ入れ替えの手技料と管理料を別に設定してほしいものです。
恐らく、償還価格設定をした国の役人には気切チューブは人工呼吸器に接続して使用するとの知識しかなかったのでしょう。
高齢化が進み、脳梗塞や誤嚥性肺炎で苦しむ患者様が増加しているのに
国は気切患者のケアをあまりにも知らなすぎるのではないでしょうか?