有床診療所の舵取りの上で羅針盤となっているのは、毎年夏に開催される「全国有床診療所連絡協議会・総会」の情報です。
大先輩である父に促され、和有協の青木名誉会長のご丁寧なご案内の下、始めてこの会議に参加した時、大学のサークルの様な、先輩方のすごい情熱と熱気に圧倒され、私は有床診の魅力を理解しました。この会議に参加すると、どうして先輩方が採算を度外視して有床診を存続させようとしているのかがよく理解できます。有床診は地域医療を守る為、本当に必要で合理的なシステムだからです。
ここは文字通り全国の有床診療所の英知が結集された作戦会議であり、有床診の存亡をかけたレジスタンス活動の本拠地です。
今年の担当・岐阜県の協議会・医師会から全国有床診療所協議会総会のプログラム(案)が届きました。
メインテーマは「有床診療所と地域包括ケア体制~在宅医療に貢献する有床診療所~」
初日は総会、横倉義武日本医師会長による特別講演「地域包括ケアシステムと有床診療所」、厚労省官僚を招いてのパネルディスカッション「演題未定」(日医総研の江口成美先生もパネリストで参加されています)、懇親会があります。
(ちなみに懇親会終了後、オプションで、舟の上から長良川河畔での「鵜飼」も観覧できる模様)
2日目は基調講演「変容する地域社会と有床診療所」、そしてシンポジウム「有床診療所と地域包括ケア体制~在宅医療に貢献する有床診療所~」が予定されています。
漸く入院基本料増額を僅かに実現した今年度診療報酬改定の報告や、現在進行中であるスプリンクラー助成金の情報等も得られるものと予想されます。
有床診療所の関係者の方、また、興味のある方は是非参加されることをお勧めします。
有床診のエッセンスが詰まっています。
人間ドッグ学会が4月4日報道機関に公表した、あまりに緩い新判定基準の報道(全国紙でも地域紙でも大きく取り上げられている)によって、医療現場は少し困惑しています。
概要は
① 同学会と健保連が、2011年の1年間に200施設から集めた約150万人分の健診データを解析し、以下の基準を全て満たしている「基準個体」34万人を抽出
i) 既往歴に悪性腫瘍、慢性肝疾患、慢性腎疾患などの疾患のない者、ないしは入院歴のない者
ii) 退院後 1 か月以上経過している者
iii)現病歴で下記の事象がない者
・ 薬物の常用(高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの疾患の治療のため)
・B 型肝炎あるいは C 型肝炎
iv) BMI 値:25 未満
v) 喫煙なし
vi) 飲酒 1 合/日未満
vii)血圧 130/85 mmHg 未満
尚、「血圧」と「BMI」は基準個体の条件からそれぞれのしばりを外して解析。
② 市原氏らの潜在異常値除外法により基準個体の二次除外を行い、残った超健康人、約1万~1万5千人のデータを基に27検査項目の値と健康状態から基準範囲を求めた。
結果、従来の基準値を超える値でも健康を維持している人が多くいることが判明し、「これまでの判定基準は厳しすぎる」として、大幅に緩和された検査基準値を公表。
以下に一部ピックアップすると
収縮期血圧は従来基準値が130未満であったのが新基準値では88~147
拡張期血圧は従来基準値85未満であったのが新基準値では51~94
肥満度(BMI)は従来基準値25未満であったのが新基準値では男性18.5~27.7、女性16.8~26.1
LDLコレステロールは従来基準値60~119が新基準男性72~178、新規基準値女性(65歳~80歳)84~190・・・。
しかし、私は進行の早い肺癌等の悪性疾患と異なり、高血圧、高脂血症等の慢性疾患の予後を充分な追跡調査無しに「問題無し」と結論付け、基準値まで変えてしまうのは、本当に10年後健康なのか怪しく、危険だと思います。また、①の基準を満たした健康人でないと当てはまらない事も、あまり患者様は理解していない様に思います。その原因として、多くのマスコミが、まだまだ追跡調査が必要である旨を(報告書には記載されているのに)しっかり伝えていない点に問題があると思います。みんな誤解してしまいそうです。
因みに、報告の最後に、以下の様にちゃんと書かれています。
「今回のいわゆる健康人のデータを5~10年間追跡調査を行い、基準範囲の妥当性を検討する必要がある」
また、日本人間ドック学会HPに4月7日付でも
「今後数年間さらにデータ追跡調査をして結論を出していくことになります。
従いまして今すぐ学会判定基準を変更するものではなく・・・・」
と公表しています。
恐らく、学会が言う様に、後10年は追跡調査をすべきで、その結果が公表されるまでは、慌てない方が安全と考えます。
マスコミの甘い誘惑(報道)に負けて、ルーズな生活に戻る患者様が増えないかと、私は危惧しています。
外科学会出席の為、父に留守をお願いし、
朝一で国立京都国際会館に行ってきました。
周囲の桜は満開。
丹下健三の片腕として、広島平和記念資料館の設計にも携わった大谷幸夫氏の代表作で、日本最古(1966年開設)の国立会議施設です。
SFチックな長いエントランス通路に、等間隔で配置された参加証発券機が、
ディズニーランドのアトラクションのようでとても面白かったです。
合掌造り様式と現代建築様式を融合しているそうで、外観はちょっと違和感がありましたが、中に入るとその面白さが実感できました。
有床診に係ると、入院患者様を常に抱えているので、泊りは何時も難しく、ランチョンセミナーまで聞いて、とんぼ返り(涙)。
本題です。
4月3日深夜付で
全国有床診療所連絡協議会HPのドクターページに
有床診のスプリンクラー設置に関するとても解りやすい最新情報(2014年4月1日現在)が掲載されました。
これによると
医院併設型の自宅部分にはやはりスプリンクラー助成は無さそうです。
助成が無いから「有床診内に存在する医師宅にはスプリンクラーを付けない」という訳にもいきませんから、
当院の様な医師宅併設型有床診には負担が重く圧し掛かり、これが原因で病床閉鎖する有床診も出てくるのではと懸念します。
また、3種類あるスプリンクラーの選定基準も乗っていて、現時点ではとても悩ましいところです。
「水道連結式」は20分程度の避難時間を確保する効果しかなく、完全な消火は不可能との事で、当院の様な、19床ほぼ全ての患者様が自力避難困難な施設では逃げ遅れる可能性があり、選択することは無さそうです。「パッケージ型」は蓄電池で稼働するので自家発電機不要ですが、3階以上の消火には屋上設置の必要がるようで、後付ではスペース的に問題が生じます。また、メンテナンス料も高いとのことで維持出来るか心配です。残る「従来型」が一番現実的なのですが、自家発電装置が不可欠で、これがとても高価な為、経営的にとても苦しいです。また、メンテナンス費用も高そうですが詳細不明です。維持費の助成は無いのでしょうか?詳細情報が欲しいです。
やはり、詳細が確定するまで、当院としては申請を保留するしか無さそうです。
以下は
<緊急のお知らせ>
からの全文のコピペ(一部当ブログ用に修正)です。
『防火安全対策について』
①スプリンクラー施設整備費補助金交付書類は、スプリンクラー施設整備事業計画書
(様式2)、概算見積書(工事内訳書は付けずにおおよその計算でよい)、面積の分かる平面図にスプリンクラーヘッドを設置しない場所を明記したもの。
工事内訳書、設置整備図面は7月頃の交付内定の時に提出を。
②屋主と有床診療所の管理者が異なる場合は、管理者が補助金交付申請を出せば受付けます。詳しくは、Q&Aに記載。
③火災通報装置(ホットライン)の補助金募集はミスがあり。未定。
④1000㎡以下の有床診療所は水道連結式スプリンクラーを、1000㎡以上は従来型スプリ ンクラーかパッケージ型スプリンクラーを選んで下さい。1000㎡以下ではどの型も選 べます。1000㎡以上でどちらも適応しない場合は、しばらく申請を先送りにして下さい。1000㎡以上1500㎡までも水道連結式が選べる可能性あり。
また1000㎡以下を対象にした小型パッケージ型が開発されつつあります。
1.福岡市での火災における課題
火災による死者はいずれも高齢者で、その大半は自力避難困難者だった。
初期消火や患者の避難誘導がなされなかった。
防火戸が閉鎖されなかったことにより煙が建物内に充満した。
2.防火対策の基本的な考え方
施設の実態を踏まえ、ソフト面の対策とハード面の対策を総合的に実地することが必 要です。
(1)ソフト面での防火対策
①効果的な防火・避難訓練の実地
②防火設備の適切な維持保全のあり方を検討
これに対して、有床診療所におけるICTを活用した「防火対策自主チェックシステム」 の構築中。有床診療所の事業者が防火に関する点検項目に自から入力し、必要な防火対策に漏れがないかを消防部局等が確認出来るシステムを構築中です。
平成27年4月スタート予定。
③現在出来ている3000㎡以上の病院を対象としている訓練マニュアルを見直し中で、有床診療所等でも活用できる内容を追加する。
(2)ハード面での防火対策
①小規模(300㎡未満)のホテル、旅館、有床診療所、病院、福祉施設につて自動火災報知設備の設置を義務化を公布(平成25年12月27日公布 27年4月1日施行)
②現在有床診療所に火災通報装置(ホットラインと呼称します)は義務づけられていませんが、有床診療所に消防機関へ自動火災報知設備と連動して通報が出来る装置を設置することになります。現在、消防機関とプッシュ式(押しボタン式)を設置されている所は、消防設備士のいる工事業者により自動火災報知設備と連動させる必要があります。費用は数万円程度。
新たに火災通報装置(ホットライン)を設置される場合は30万円ほど、アナログ専用 回線が必要です。500㎡以下では特定火災通報装置でよいそうです。警備保障会社との通報装置は認められません。
③スプリンクラー設備の設置基準が見直されます。
有床診療所は一部を除いて設置が義務化されます。(平成26年末予定 5年間の猶予。 期間がさらに延長されることが考えられます) 例外施設はQ&A参照
(イ)本来(※「従来型」を指している様です)、スプリンクラーは初期消火はもちろん、延焼防止まで考えられており、配管が鋼管で、貯水槽・加圧ポンプ・自家発電機がセットになっている。
(ロ)パッケージ型自動消火設備は、パッケージのタンクの中に消火液・加圧タンク・バッテリーが内蔵されている。貯水槽がいらない。
注:前二種は、大きな有床診療所あるいは高性能を望まれる所が選択して下さい。
(ハ)水道連結式スプリンクラー
1000㎡以下、275㎡以上の特別養護老人ホーム等を対象にされた簡便式スプリンクラーで、負担を少なくするために考えられ、老人ホーム等では補助金1㎡当り9000円だった。各地の水道事情により対応が変わります。水道水の圧力の問題あり。現在は改良されて少し単価は上がっています。
設備基準があり、初期消火のみの対応。完全な消火は不可能だが、短時間での延焼(火災の拡大)を抑制し、自力避難が困難な患者の避難時間(20分程度)を確保する効果があります。
【水道法上の注意】
・ポンプ設置により配水管の水圧に変化が出ない様にすること。
・水が停滞することがない。(滞留水が生じないこと)
・スプリンクラーによる水の汚染がないこと。
○有床診療所も延べ面積1000㎡までしか認められませんが、現在、部会でこれ以上の広さの有床診療所での利用が検討されていて、1500㎡までか2000㎡までにるか不明瞭。多少の防火区画に対する条件が付いて認められる可能性があります。
(二)いづれのスプリンクラーを設置する場合も、スプリンクラーヘッドを要しない場所に区別ありません。
スプリンクラー放水により二次的災害が起こる可能性のある場所、火災の発生が少ないと考えられる場所は、スプリンクラーヘッド設置を要しない。
① 階段、浴室、便所、その他これらに類する場所
※②~⑤はカットされています。恐らく有床診に関わらない部分だと思います。
⑥エレベーターの昇降路
⑦直接外気に開放されている廊下
⑧エレベーターの機械室、機械換気設備の機械室
⑨発電機、変圧器、その他これに類する電気設備が設置されている場所
⑩手術室、分娩室、内視鏡検査室、人工血液透析室、麻酔室、重症患者集中治療看護室、その他これらに類する室
⑪レントゲン室、放射線源を使用し、貯蔵し、又は廃棄する室
(消防法より有床診療所に関係する所を選びました)
(ホ)スプリンクラー施設整備費補助金交付はスプリンクラーヘッドの整備面積に対してです。なるべく多くの場所に設置する方が多くなります。(自宅部門はだめ)どのスプリンクラーも乾式となり、誤作動はほとんどなし。
(へ)その他考えておくこと
スプリンクラー設置に伴う年間メンテナンス料に大差があり。設置契約の前に確認すること。
1000㎡以上の施設に対して、スプリンクラーヘッドの免除部分を包含するように、屋内消火栓又は補助散水栓を設けることになります。これも補助金対象に含まれます。
《スプリンクラー別 長所・短所の比較表》
「従来型スプリンクラー」
スプリンクラーと言えばこれだった。約30年前より使用され、改良も加えられ延焼も防止する効果あり。
配管は鋼管で強度あり、地震にも比較的丈夫。
比較的大きな医療機関に有効性能高く丈夫なものを望まれるならばこれ。ホテルなどで使用されている。
高価であるが最近は値下がりしている(見積りの時に注意を)
設置工事に時間がかかる。
屋外に大きな貯水槽、加圧ポンプ、自家発電装置を置く。駐車場に設置する場合は3~4台ほどの広さが必要。
屋上に設置は不可能。
メンテナンス料は自家発電機の点検料が加わる。
「水道連結式スプリンクラー」
建物に入る水道配水管に連結する。
室内配管は塩化ビニール工事が簡単で工事期間が短い家庭用電気使用。
多くのメーカーあり、見積りを比較できる。
補助水槽、加圧ポンプを加えることを薦める。
乾式(誤作動防止のため)を選ぶこと。
自動火災報知器と連動補助水槽は小型で屋外に設置場所小さい。
3種の中では安価。
消火能力が劣る。
断水で使用不能。
水道事情により設置不可能のことあり。
あくまでも初期消火対応で延焼防止はない。
適応が認められて新しいが色々な改良がはかられている。
「パッケージ型スプリンクラー」
消火能力は3種の中で優れている。水道水を使わない屋外貯水槽不要。
10000㎡まで設置が認められている。
蓄電池方式で停電でも作動する配管は鋼管で丈夫。乾式で誤作動の対策あり。
1000㎡ 以上の建物を想定している。
高価であるが補助金内で設置する。(本社より確認ずみ)
ユニット(3個セット)が比較的大きく、設置場所に10㎡は必要。屋外設置タイプもあり、3階以上の消火には屋上設置の必要あり。
重さが1.6tの荷重負荷に耐える構造が必要。
設計事務所、建設会社で建築基準法上の確認が必要。
メンテナンス料が高い。
(附)スプリンクラー設置を決められたら、貴下の有床診療所を建てられた建設会社(設計事務所)に相談して下さい。
その会社が無くなっている、又は付き合っていない場合は、親しくしている設計事務所(建設会社)へ。
それがない場合は、年2回消防設備点検を受けている業者に相談を。どちらにしても消防設備士がいる会社に工事請負を出すことになります。
(平成26年4月1日現在)
今年度最初の救急車要請
屋上からお見送りです。
時間外の急患ですが
診察してみると全身状態不良で
当院では対応しきれず地域中核病院に紹介、転送・・・。
時間外対応は往々にして重症例・対応困難例が多く、
医療リスクも格段に高くなります。
受ける側のマンパワーも不足し
当院の場合、医師と看護師、看護助手の計3人だけで
入院患者様を見ながら時間外対応を行います。
当然診察や検査、処置の時間も掛かり
体力的にとてもきついです。
外科を標榜しているので
時間外は犯罪絡みの事例も多く
精神的ストレスも大きいです。
でも、有床診は常時稼働しているので、
急患からの電話が何時でも繋がってしまいます(涙)。
救急告示病院ではないので
無理して受けなければ、それで済むことなのですが
つい救急病院の当直の様に、対応してしまうのが
我々有床診の憎むべき性です(苦笑)。
年度の節目です。
昨日、フジテレビでタモリの看板番組が終わりました。
収録場所である新宿駅東口の「スタジオアルタ」は新宿のアイコンの一つで、私の大学の通学路上にありました。
付近は紀伊国屋書店や中村屋、高野フルーツパーラーや伊勢丹が立ち並ぶ新宿の中心地。
その玄関口にポップカルチャーの殿堂・アルタがあって、
上京したての若者は、東口を出るとテレビで見慣れた光景を発見し
ホッとするのです。
でも裏には東洋一の歓楽街、歌舞伎町が控え、椎名林檎「歌舞伎町の女王」のカオス世界が広がります。
当時はバブル。
スポンサーに溢れ、テレビ全盛時代。
フジテレビは視聴率競争で無敵を誇り、その看板番組が同番組でした。
今でこそ「お台場のテレビ局」を装っていますが、元々は社屋も新宿にあって、
「新宿大衆文化を発信するテレビ局」でした。
でも時代は変わり
サブカルチャーの秋葉原、ハイカルチャーの丸の内等にブームがシフトし、
新宿のポップカルチャーは衰退。
フジテレビの視聴率も低迷し、最後に生き残った同番組も終了となったのでしょう。
流行は繰り返されるのですが、
新宿文化の発信基地・アルタが今後どうなってしまうのか、
新宿東口がどうなってしまうのか、
少し気になります。
今日から新年度です。
先日日帰りで、京都嵐山・天龍寺の世界文化遺産、曹源池庭園に枝垂桜を見に行きました。
美しいピンク色・・・
今日から乳癌早期発見啓蒙運動のシンボル、ピンクリボンも点灯します。
胸のシコリを見つけたら、一刻も早く最寄りの医師にご相談下さい。
乳癌は
放置すれば骨に転移して
確実に死に至ります。
でも、体表に存在する為
自分でも早期に見つけ易く
直に対処すれば
確実に治ります。
エイプリルフールですが
これは事実。
今日から消費税も上がり、診療報酬も改定されます。
有床診療所は病院とは異なり、
これまで理不尽なまでに入院基本料を抑制されていて、
今回の改定で僅かに是正されたものの、
依然ビジネスホテルや介護施設よりも安く、
厳しい経営を強いられております。
当院は引き続き有床診療所入院基本料1を算定致しますので
1日平均500円ほど値上がりします。
患者様にはご負担をお掛けして申し訳ありませんが、
皆様のご理解、ご協力をお願い申し上げます。