お知らせ

葬儀屋ミシュラン

_2013.03.25

有床診療所の大切な機能の中に「看取り」がある。

当院も毎年、多くの看取りに携わらせて頂いている。

先日も長年お世話になった患者様を入院で看取らせて頂いた。

ご本人も、ご家族も、最後まで本当によく頑張った。九十歳半ばの大往生を家族みんなで支え合って、夜も泊りがけで付き添い、温かく最後まで見届けて下さった。

私が名医なら、百歳まで長生き頂けたかもと思うと、何時も歯がゆくてならない。

しかし、患者様はようやく苦しさから解放され、天国に旅立った。

ご家族も、医療スタッフも、ようやく苦しさから解放され、ほっとする。

次はもっとしっかり看取れるだろうか?

「そこはそうではなく、こうしろ!」

天から告げてほしい。

天国から見守っていてほしい。

 

死後の処置が終わると、ご用意した死亡診断書をお渡しし、ご遺族が用意した葬儀屋さんのお迎えを待つ。

実は、ここで一つ、医院保守を行う院長として、心配事が生じている。

ご遺族には分からない、舞台裏。

映画「おくりびと」の様な、素晴らしい葬儀屋さんがお迎えに来るのか?

医院にとって、とても迷惑な葬儀屋さんがお迎えに来るのか?

何時もスマートにストレッチャーをベッドサイドに搬入し、医院に気を配り、美しくお送り下さるプロの葬儀屋も沢山存在する。

しかし、先日の葬儀屋は少し酷かった。

ご遺族が一足先に帰宅したのをいいことに、とても雑な運転で無神経に金属性のストレッチャーをベッドサイドに着けるものだから、病室の家具や壁に激突し周りはボロボロ。こちらは高額のモニター類を破損されないかハラハラ。

家具に思いきりぶつけてターン。角が欠けて、堪り兼ねた師長さんが「ぶつけないで下さい」と注意したが

笑ってその場はお終いだった。

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仏様の前でご家族が良かれと思って用意した葬儀屋にクレームを出すのも忍びないので、

傷つけられても、いつも、当院の泣き寝入り。

 

でも、この葬儀屋、今回が初めてではなかった。

 

仏の顔も三度まで

 

電話でクレームを行なった。

直に上司と謝罪に訪れ、ようやく腹の虫がおさまった。

 

また繰り返す様なら

葬儀屋に星を付けて、

「葬儀屋ミシュラン」を公表するかも。

私を月に連れてって

_2013.03.23

デイヴ・グルーシン:「Piano, Strings, and Moonlight」オリジナル・レコードジャケット

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30年来探し求めていた曲が、先日、ついに見つかった。

小学生の時、私が初めてジャケット買いしたピアノ・ムード音楽のベスト盤カセットテープ、ソニーの「PIANO MOOD COLLECTION(1972)」(廃盤)。

このB面に入っていた「Fly Me to the Moon (原題:In Other Words)」を収めたデイヴ・グルーシンの初期のアルバム「Piano, Strings, and Moonlight」(廃盤)を発見した。

iTunes Storeで廃盤の曲も購入できるとは知らなかった。

「Fly Me to the Moon (In Other Words)」はご存じの通りフランク・シナトラを始めとする沢山の有名歌手がカバーするジャズスタンダード、近年は宇多田ヒカルやエヴァンゲリヲン(アニメ)がカバーし同曲がちょっとしたブームとなったらしい。

デイヴ・グルーシンはジャズ名門レーベル「GRP」設立者で、ジャズ・フュージョンの第一人者。映画音楽の作・編曲家、ピアニストとしても有名で、グラミー賞を10回も受賞している。日本では渡辺貞夫のアレンジャーとしても知られ「Samba Do Marcos」はナベサダの代表作となっている。

モダン・ジャズのピアニストとして活躍していた1962年に録音したこの「Fly Me to the Moon」で、彼は格調高いバロック調のストリングスをバックに繊細で華麗なピアノソロをロマンチックに披露している。オーケストラとの駆け引きがとてもスリリングなグルーシンらしい編曲。私にとっての「Fly Me to the Moon」のベスト盤。

この頃のグルーシンのリリカルなジャズピアノは、私にとって、ビル・エバンスよりずっと魅力的。

「Fly Me to the Moon」がバロック調のストリングスとモダンジャズピアノの融合(フュージョン)であるならば、「Night-Lines(1984)」に収められた「Bossa Baroque」はその名の通りバロック音楽が突如ボサノバに変わる魅力的な曲。

グラミー賞を獲得した1982年の日本武道館ライブ曲「Summer Sketches」や、同じくグラミー賞受賞「Early A.M. Attitude」、GRPレーベルでの1987年東京コンサートでの「An Actor’s Life」、弟のドン・グルーシンとの共作「Good Ol’ Boys]等で明らかなように、途中での曲調の劇的な変化や、感情豊かに駆け廻るピアノ(キーボード)ソロの、オーケストラの絶妙な駆け引きがグルーシンサウンドの醍醐味。

「Fly Me to the Moon」と、A面に入っていたルイス・ヴァン・ダイク・トリオ「男が女を愛する時」(注1)が、私の少年時代のお気に入り。

ちなみに当時より歌謡曲にはあまり興味は無く、友達と音楽の話は合わなかった。カラオケもやはり好きにはなれない。

ソニーよりCDプレーヤーが発売されて間もなく、初めて買ったCDも、グルーシンの5作目「One Of A Kind(1977)」であった。グルーシンサウンドの原点とされるアルバムで、私の最も好きなアルバムである。これに収められた「Montage」はフュージョンの最高傑作の一つではないだろうか。本作以前のアルバムはジャズ色が濃く、私の好みであったが、残念ながら日本では発売されなかった。上京した時、まだ井の頭通り沿いにあった渋谷タワーレコードで、3作目「Kaleidoscope(1964)」と4作目「Discoverd Again(1976)」(注2)の輸入盤CDを発見。でも、1作目の「Subways are for Sleeping(1962)」、2作目の「Piano, Strings, and Moonlight(1963)」は廃盤で、2作目に入っていたお目当ての「Fly Me to the Moon」はCDで入手できず、カセットデッキが壊れてからは、先のベスト盤が再生不能となり、2度と聞くことが出来なくなった。

先日、この廃盤2作品が、ジャケットデザインを変更され、でもよく見ると同じタイトルでiTunes Storeで販売されていたことに気付いた。

30年ぶりに聞いたグルーシンの「Fly Me to the Moon」は、やはり、変わらず、とても良かった。

子どもの時の音楽の好みは30年経っても変わらないらしい。

私の子どもたちも、そろそろ当時の私と同じ年齢に差し掛かっている。

ピコピコとゲームばかり行っている彼らに、親として様々な音楽に接する機会を作ってあげなくてはと感じた。

注1:因みにルイス・ヴァン・ダイク・トリオの「男が女を愛する時」はまだ発見できていない。やはりカセットテープが壊れる前に、CDに焼き直すしかないのかもしれない。

注2:現時点においてWikipediaのデイヴ・グルーシンのディスコグラフィーには4作目「Discoverd Again」が欠けている様子。

Spectrum NY

_2013.03.16

年の初め、好きだった日本画家、牛尾武氏の訃報を受け、寒さがとても染みる冬だった。

 

春を迎え、ファンである田辺市在住の現代美術作家、上田タカヨシ氏より、氏の主宰するアトリエの作品展開催のご案内を頂戴した。

絵はギャラリーで鑑賞するのも楽しいが、制作現場はもっとウキウキする。

先生の新作にインスパイアされた生徒さんの作品

どんな表現が見られるかとても楽しみ。

 

アトリエ邑(ゆう)第10回作品展

平成25年3月23日(土)、24日(日)

紀南文化会館

 

当院のロビーに展示中のアクリルと油彩のミクストメディア作品

「Spectrum NY」

は12点に及ぶ上田氏の連作。

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上田氏ご本人による作品解説(同氏HPより)

「Spectrum NYシリーズはそれぞれの作品を1色の基調色に分けて制作。

12色分を分色状態で連続して並べ、それぞれが独立した絵画でありながらも

全体を構成する一部になるように配置しています。

見かけは風景や人物画ですが、人と環境を題材にした言わば「環境画」が

テーマになっています。

全てキャンバスにアクリルと油絵の具を併用した作品です。」

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現代美術好きの私は、大学時代、勉強そっちのけで美術館を巡り歩き、週末は都内、長期休暇は欧米の美術館巡りに凝っていた。

ニューヨークにも当然、現代美術の殿堂、MoMA(ニューヨーク近代美術館)やグッゲンハイム美術館目当てで幾度も訪れた。

「Spectrum NY」も、少なくとも3点はMoMAがモチーフになっている。

 

この作品は、休み無く活動を続けるマンハッタンの、「何処か緊張感のある心地良い空気」を上手く切り取っている。この心地よい緊迫感は長年通った新宿にも通じるところがあって、活力が生まれる。穴蔵の中で24時間ドタバタしている当院のイメージにも少し重なり、懐かしくも感じる。

千葉学氏や野老朝雄氏、上田タカヨシ氏らの力を借りて、私が目論んでいるのは、「リトル新宿」の構築。

「都市の空気」を疑似でも院内に再現し、提供することは、地方に住む患者様の刺激となり、活力に結び付くものと私は信じている。

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半年も前から田畑寿雄氏に勧められて訪れた上田氏の個展で一目惚れし、本作品をお譲り頂いた。

院内展示様式も上田氏ご自身によるもので、MoMA風の香りがする、とても面白い配置となっている。

 

ギャラリー寿苑でのグラデーションに沿った展示がオリジナルで、これも統一感があって素晴らしかった。こちらは上田タカヨシ氏のホームページ(院内美術館からリンクされています)で確認できます。

 

同作品は

診察時間中どなたでもご覧頂けます。

医療法人 外科内科 辻医院

一般病床・医療療養型病床

和歌山県田辺市上屋敷3丁目11番14号 TEL.0739-22-0534 FAX.0739-22-0538